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プラチナ通りに恋が舞う

著者/ 伊郷ルウ

イラスト/ machi comaki

タグ: 切ない 契約 社会人 やんちゃ エプロン スーツ 御曹司 エッチ薄め カフェ 上流階級

「乳首もかなり敏感みたいだな」。大手外食産業社長の三男・麻生真沙貴は、新規カフェ・チェーン事業のため、カリスマ・ギャルソンの蓮見哲哉のヘッドハンティングを画策。素性を隠して視察に訪れたプラチナ通りの蓮見のカフェで、真沙貴は逆に、ギャルソンとして働かないかと蓮見からスカウトされる。蓮見のマンションで二人っきりのスペシャル・レッスンを受けることになった真沙貴だが、なぜか蓮見を男として意識してしまい…。


「すみません。マネージャーが怖いとか嫌いとか、そういったことではないんです。なんだか自分でもよくわからないんですけど……」
「この前、俺が悪戯心を起こしたせいかな?」
 蓮見にしても、思い当たる節はそれしかなかったようだ。
 はっきりとそうだとは言いきれない真沙貴も、蓮見に過剰反応する原因の一つであると思っているだけに、否定もできないでいた。
「さて、どうしたものか……」
 困り果てたらしい蓮見の手から、パサリとエプロンが落ちた。
 自身はさして悪気もなかったのだろうが、相手に相当なダメージを与えた事実に、どう対処すべきか悩んでいるらしい。
 蓮見は腕組みをしたままあらぬ方を見つめ、しばらく黙り込んでしまった。
「あの、今度から気をつけますから」
 長い沈黙がいたたまれずに、なんとか頑張ると口にはしたものの、真沙貴の顔には自信のなさがありありと浮かんでいた。
 それを容易に見て取った蓮見が、重苦しい顔つきで長いため息を吐き出した。
「と言ったところで、すぐに直るとは思えないけどな」
「でも、僕はマネージャーからレッスンを受けないと店に出られないし、時間の無駄になりますから」
「心意気だけでなんとかなるものでもなさそうだし……」
 真沙貴の言葉をすんなりと受け入れなかった蓮見は、うーんと唸り声をもらすと、またしても考え込んでしまった。
「マネージャー?」
「荒療治という手もあるかな」
 蓮見はそうかと言いたげにつぶやいたが、その声はあまりにも小さくて、真沙貴にははっきり聞き取ることができなかった。
「えっ?」
「ちょっとこっちに来て」
 なにを言ったのかわからずに首を傾げた真沙貴を、少し表情を明るくした蓮見が手招いた。
 解決策でも思いついたのだろうと、真沙貴が促されるまま蓮見に近寄ると、すぐに新たな指示が出された。
「目を閉じて上を向いて」
 蓮見の声はいたって穏やかだったが、にわかに不安を感じた真沙貴は、すぐには指示どおりにできなかった。
 なにをするのかを訊きたい思いでジッと見つめる真沙貴に、安心させるように柔らかな笑みを浮かべた蓮見がさあとばかりに促してくる。
「いいから、言うとおりにして」
「はい……」
 真沙貴としても、この状況を一刻も早く打破したい思いが強く、暗示でも掛けてくれるのだろうと、おとなしくあごを上げて目を閉じた。
 どの程度の効き目があるかは知らないが、このままギクシャクとした態度が続くよりはいいだろうと考えてのことだ。
 ところが、そんな真沙貴の思いとは裏腹に、蓮見はとんでもない行動に出た。なんと、いきなり腰を抱き寄せると、仰け反った真沙貴の唇を塞いだのだ。
「んっ」
 ビックリ仰天の真沙貴はパッと目を見開いたが、ピッタリと重ねられた蓮見の唇は離れないばかりか、より強く押しつけられた。
「んんん……」

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