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メンズ下着は恋の魔法

著者/ 今井茶環

イラスト/ 芥ミチ

タグ: コミカル 契約 社会人 スーツ メガネ 天然 御曹司 エッチ濃いめ 会社 住み込み

下着メーカーで新製品の試用モニターをすることになった、服飾専門学生の周防光圀。単なるバイトかと思いきや、未発売商品の情報漏洩防止のため、副社長の王臥一威から、使用後の下着を洗わず返却せよとの指示が! その上、さらなる秘密保持のため一威のマンションでの同居も提案される。いよいよ商品の発表を控えたある日、もっと色気が必要だと、光圀は浴室で一威に迫られてしまい…。


「ちょ、ちょっとのぼせそうなので上がります!」
 そう言うのが精一杯で、ザバッと勢いよく湯船から立ち上がった瞬間、目眩に体が傾ぐ。
「光圀!」
 名前を呼ぶ声と同時に、力強い手が僕の体をがっちり支えてくれた。そのまま軽々と僕を抱き上げる一威さんは浴槽を出て、くつろぎスペースにあるリラックスチェアに座らせてくれた。
 天井のシーリングファンがゆっくり回るその下で、「大丈夫か?」と声をかけられて、冷蔵庫から出したペットボトルの水を額にあててくれた。
「ありがとうございます」
 目眩はほんの一瞬で、椅子に座ってしばらくすると何てことはなく、冷たい水で喉を潤したら気分もスッキリした。
「本当に大丈夫か?」
「はい。ただの立ち眩みだか……」
 言いかけた僕は、一威さんの下半身……目の前にある猛々しいペニスが視界に入り、また顔が熱くなる。一威さんは裸で、僕も真っ裸。互いにフルヌードで、一威さんのが見えてるということは、一威さんの目にも僕のが見えているということで……。
 さり気なく視線を自分の股間に移すと、なにがどうなってそうなってしまったのか、僕のペニスは反応して勃ち上がりかけていた。
「あ、あのっ、もう大丈夫だから一威さんはお風呂に戻ってくださいっ!」
「なにをそんなに慌てて……ああ」
 その『ああ』はなに!
 僕の状態に気付いたってことっ!
 涙目になる僕は両膝を立ててギュッと抱く。前を隠すことで、自分の状態に気付いてしまったのを晒したも同然。恥ずかしいやら逃げ出したいやら、ない交ぜな感情に目が潤む。
「気にしなくてもいい。男なら誰だって反応するものだ」
 反応しなかったら男として深刻な悩みだけど、問題はそこじゃなくて!
 今ここで、勃ち上がってしまった僕の状態がふつうじゃないというか、なんで反応したのか、その理由を認めてしまったらもう後には引き返せない。
 小柳さんの存在を気にするくせに、そのくせ自分は怖くて一歩を踏み出せない臆病者だ。
『光圀は、私が好きなのか?』
 言われて、心臓がドキッとした。
 僕の返事は――。
「……もう、行ってください……」
 俯く僕は口にして、一威さんが立ち去るのを待つ。けれども足音はしばらく経っても聞こえてはこなかった。
「光圀」
 まだ側にいる気配に、僕はただジッと、一威さんがこの場から離れてくれるのを願うだけ。あんな状態を見られて平静をよそおうなんて無理だし、呼ばれても顔を上げられない。
「光圀、私を見ろ」
 語気を強めた二度目の呼びかけに、無視できない僕はやむなく顔を上げた。
「……な、んで?」
 隠すことなく前を晒してる一威さんの股間はついさっきまではふつうの状態だったのに、それが今は反応しかけていて、形態が変わっていた。
「なんでと言われても、正直、私もよくわからない。ナイーブでスレてない光圀の初々しい態度に反応してこうなったんだろう」
 だろうって、そんな理由で勃起していいわけっ!
 ふいに一威さんは手を伸ばした。その行方を追う視線に気付いたのか、僕の肩に触れるか触れないかの状態で手を止めた。
「光圀……」
「……はい」
「触れてもいいか? おまえを抱きしめてみたい」
 心臓が甘く痺れて、胸が高鳴る。ポップコーンが次々と弾けるみたいにドキドキが加速して止まらない。
 頭で考えるよりも先に、体は動いていた。
 頷いた僕の肩に一威さんがそっと触れてくる。優しく抱き寄せられ、一威さんの腕の中にすっぽり包みこまれる僕は心の中で『好き』という気持ちが溢れてきて――。
 一威さんの背中に腕をまわして、胸に顔を埋めた。それだけで胸がキュンと疼き、リンクした下半身にズクンと痛みが走った。
「ん…っ」
 覚えのある微熱が一箇所に集まってきて、恥ずかしさに身を捩る。
 身体をそっと離した一威さんは僕の手を掴んで立ち上がらせた。入れ替わりに一威さんがリラックスチェアに座り、引き寄せた僕を膝の上に乗せた。
「あ、あのっ!」
「ん?」
 さすがにこの体勢は恥ずかしくて声を上げた。けれどもまだそれで終わりではなかった。横座りでも恥ずかしいのに、一威さんは僕の太腿を掴んで足を開かせ、一威さんを跨ぐようにして前向きに座らされた。
「やっ、うそ!」
「なにが嘘なんだ?」

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