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仔狼は悪徳弁護士のお気に入り

著者/ 松浦巽

イラスト/ サンバ前川

タグ: シリアス 契約 年の差 社会人 オレ様 スーツ 意地っ張り エッチ濃いめ ヤクザ 弁護士 拉致 監禁

ヘマをした友人を助けるために、悪徳弁護士・桐島の事務所でアルバイトをすることになった大学生の和威。桐島の弱みを握ろうと、法律事務所でバイトを続ける和威だったが、学内でのドラッグ騒動や、政治家の父親の選挙にからんだ事件に次々と巻き込まれ…!?


「ハッ……ハッ……ハッ……ハッ――」
 自分の乱れた息遣いが、他人のもののように耳障りに響く。
 男たちの環視のなか、直腸内を指で探られるという屈辱を味わわされてから、どのくらいの時間が経過したのか。
 和威は縛られたまま、ベッドの上で弱々しく悶えていた。
 体じゅうが燃えるように熱い。激しい動悸きが耳まで伝わってくる一方、聴覚自体は水に潜ったときのように鈍い。目の焦点も合わず、部屋の壁が近付いたり遠ざかったりしている。
 皮膚という皮膚がひどく敏感になり、シーツにこすれただけで痛いほどの刺激を感じた。
「――っ!」
 首すじに触れられたとたん、和威はびくんと跳ねた。まるで殴られたような衝撃がおさまったあと、耐えがたい疼きがざわざわと全身に這い広がる。
「そろそろ効いてきたか」
 猛禽の目の男が言い、さらに手を伸ばしてきた。
「あっ……く……っ」
 戯れのように指を這わされただけで、背すじがぞくぞくして腰の力が抜ける。快感というには強烈すぎる、だが快感としかいいようのない感覚。
「どうだ、気持ちいいか?」
 乳首をかすめるように一撫でされて、和威は思わず悲鳴を上げた。
「うあっ! ……さ、触らないで……っ」
「いやなら早く、洗いざらいしゃべるんだな。商品をどこに隠した?」
「あああっっ!」
 指先で乳首をはじかれると、切られたような痛みが走った。
「知らない! 隠してなんかない! そんなもの知りません!」
 立て続けになぶられて、凶暴な快感に切り裂かれる。つまんでもむようにされると、痛みよりもつらい官能に苛まれて、全身ががくがく震えた。
「いやっ、いや、いやだっ、やめて……っ!」
 もがくと両手首にロープが食いこみ、それすらも妖しい愉悦となって体内を駆け巡る。その感覚も、自分がそんなふうに感じてしまうことも恐ろしく、怯えが体をさらに敏感にする。
 それはたしかに性感だったが、通常の性欲とは別物のようだった。全身がほてって興奮しているのに、中心だけはうなだれたままだ。この熱をどうにかしてほしくてたまらないが、刺激は苦痛でしかなく、どちらにしても耐えがたい。
 脇腹や内腿を責められると、もう限界だった。
「やっ、やめて! やめてください、やめて! お願いです! なんでも言う――言うから許してください!」
 叫ぶように懇願したが、愛撫の手はとまらなかった。
 和威は身悶えながらすすり泣いた。この責め苦から逃れたい、ただその一心で、許しを請い、誓い、問われるまま必死に答えた。
 もっとも、弘之の現在の連絡先さえ知らなかったので、話せることは本当に何もなかったのだが――。
 唐突に男の手が離れた。
 ようやく一息つけた和威は、だが男の手元を見てふたたび体をこわばらせた。
 避妊具のの個包装を破いた指が、ズボンの前立てからそそりたった男のものに、手際よくそれを装着しようとしている。
「あの、先生――」
 この状況にすっかり圧倒されていたちんぴらの一人が、ようやく勇気を奮い起したように口を開いた。
「本当にこいつ、何も知らないようですし……俺たちはそろそろ、失礼してもいいですかね……?」
「ああ、好きにしろ」
 ちんぴらたちがぞろぞろ退場してしまうと、男はふっと肩の力を抜いた。身にまとっていた凶暴なオーラが掻き消え、一転して穏やかな雰囲気を漂わせる。
 大きな手で顎を取られて、和威は恐怖と快感にびくりと身をすくませた。
 射るようなまなざしで覗きこまれ、低い声で言われる。
「ぞっとするほどきれいな目だ」
 目をそらしたかったが、そらせなかった。見えない網にでもからめとられたように、指一本自分の意思で動かすことができない。まばたきも忘れて、ただ男の鋭い目を見返した。
「追い詰められているのに、冷たく澄んで――まるで狼の目だな」
 男は陶然とした口調で言うと、撫でるように和威の内腿に両手を這わせ、折り曲げられた足を左右に押し開いた。

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