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家元のおたわむれ

著者/ 佐伯まお

イラスト/ SILVA

タグ: あまあま 契約 社会人 スーツ 健気 和服 男前 エッチふつう 上流階級

ようやく決まった隆平の就職先は香道家元の住み込み秘書。しかも初仕事は五時間も風呂に入ること!? 「他の男にはない特別な香りがする」と家元に言い寄られ、逃げ出せば座敷牢でおもちゃを使ったキツーイお仕置き。夜ごと淫らなお稽古にいつしか隆平は…!?


 どうやらONスイッチの他にダイヤル目盛りがあるらしく、それで振動の強弱を調節できるようだ。
「う、動かしませんから、振動を弱めてください」
「じっとしているのですよ……おや、腰の動きが止まったら、縁の筋肉がピクピク動き出しました」
 家元の指を呑み込んだ部分が、わななくように震えていた。それを指摘され、隆平の顔がカッと熱くなる。
「だって……この棒が、いやらしい動き方……するから……っ」
「ただの棒ではありません。バイブレーターといって、性的なおもちゃです」
 あえてその単語を避けていたのに、家元にあっさりと口にされてますます隆平の羞恥心は煽られる。
「君はね、この上なく高貴で柔らかな芳香を放ちながら、バイブレーターの振動を受けたくらいで身体をひくつかせている、いけない男の子なんですよ、西梶くん」
 ゆっくりと再確認され、指を入れられた部分の熱がよりいっそう増していく。
 まるでもっと何かを欲しがっているようで、そんな浅ましい己の反応を隆平は心から恥じた。
「もう大丈夫ですね。では収めてみましょう――一度振動の方は止めます」
 バイブの丸い先端をぎゅっと押し当てられる感触。
「あっ……待って……っ、あぅっ」
 びくっと身体をすくめた隆平の震えは、尻のみならず全身に伝わっていく。戒められた足首に手をかけて、家元はゆっくりとそれをねじ込んでいった。
「うぁ……っ、あっ」
「痛くはありませんね? はい、しっかりとくわえ込んでいます」
 奥深くまで挿入されてから、軽く出し入れされた。孔の縁が引っ張られるようで、隆平は思わず高い声を上げた。
「ひっ……やめ……っ」
「力を抜いていないと、自分が辛くなりますよ。リラックスできるように、軽く振動を加えてみましょうか?」
「そ、それは……勘弁して、くださ……いっ」
 できるだけ身体の力を抜いてそこへの負担を軽減しようと、隆平は深呼吸をしてみた。その吐息が震えているのが自分でもわかる。
 なんでこんな情けないことになっているのか――ほんの数週間前までは、どこにでもいる就職難民の大学生だったのに。
「ではそのままの姿勢で待っていてください。今から香を聞いてもらいます」
 香を聞く――香道においては、香を「嗅ぐ」と言わず「聞く」と表現することを、隆平も書物から学んでいた。
 香に問いかけをして、その答えを聞くという心。
 そこにこんな艶めかしい条件が混じっていいものなのだろうか、とますます頬を火照らせる。
 家元は修行のためだと言っていたけど……こんなHな修行があるものか。
 隆平の身体から漂う微量の香りに惹かれたと、家元自身が告白していた。見た目や肌触りも好ましいと、初めての夜に囁かれてもいる。
 これすなわち、修行をかねた家元の楽しみである。だから彼は熱心に隆平の身体をまさぐっているのであろう。
 香木がちょうどよく温まってきたらしい。
 家元は香炉を軽く片手で覆うようにしながらその香りを聞き、すっと隆平の顔の傍に持ってきた。微かな香気。
「じっとして感覚を研ぎ澄ませて……この香木の種類を当ててごらんなさい。当てずっぽうで結構」
 隆平に香道の心得がないのは、家元も承知の上である。まずは適当に知っている種類を言ってみよ、と言われ、隆平は素直に口を開いた。
「伽羅ですか?」
「残念。外れです」
 とりあえず一番メジャーそうなのを言ってみただけだったが、外れるとそれなりに隆平も悔しい。身体の中心に恥ずかしいオモチャを突き刺されたまま、中途半端に身体を昂ぶらせているのは辛い。
「外れだったので、軽く振動を加えます。当たるまでこのイタズラはやめませんよ」
「……そんなっ」
 慌てる隆平の尻のあたりで、バイブのスイッチを入れたようだった。体内から痺れるような微弱振動がチリチリと伝わってくる。
「もう一度別の香木を最初から炊き直しますか? でもそうするといつまで経っても当たらない可能性が出てきます。こうしてひとつひとつ外れの答えを潰していく方が、早くゲームが終了しますが」
「次の答えを……言わせてください」
 もどかしい振動に耐えながら、隆平は考えを巡らせる。
 今度は少しマイナーそうな種類を言ってみよう。きっと家元は意地悪で、自分が覚え損ねていそうな種類を使っているに違いない。そう思い付いた。
「す……寸門多羅」
「また外れです。西梶くん、君はよくよく運のない人なのかも知れませんね」
 もう一段階振動を強められ、今度は勢いよく隆平の身体が跳ねた。
 腰と肩胛骨で身体を支えるように反り返り、呼吸が浅くなるほど追いつめられる。
「かわいい君が正解してホッとする表情を見たいし、このまま外れ続けて悩ましく悶えてもらいたい気もします。不思議なものです」
 家元の指先がちょんちょんと隆平の亀頭をつつく。
 つつかれる前から隆平の性器は完全に立ち上がり、どくどくと脈打っている。無意識のうちに踵を押し当てて、刺激しようとしていた。
 だが足首を固定されているため、あと少しのところで踵が屹立に届かない。かろうじて根本のあたりを押さえるだけに留まっている。
「家元……お、お許しくださいっ」
「早く当てましょう。それが自分のためになります……もし次の答えが外れたら、中で回転させるのと、前後に出し入れされるの、どっちの罰が好みですか?」
 罰を受ける身の隆平に、その種類を選ばせるつもりらしい。
 甘やかな屈辱。隆平はしばし迷ったが、今までに味わったことがない未知の刺激は避け、あえて一度体感した種類の刺激を選んだ。
 その方がまだ心の準備ができると思ったのである。

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