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微熱シンドローム

著者/ 伊郷ルウ

イラスト/ machi comaki

タグ: シリアス 一目惚れ 社会人 スーツ エッチふつう 会社 業界

販売企画部の新入社員・深幸は、初仕事で出会った十歳年上のデザイナー・佐伯に一目惚れ。勢いでいきなり告白した深幸だったが、「自分にふさわしい大人の男になったら考えてやる」と告げられてしまう…。しかし、一心不乱に、佐伯に釣り合う大人の男を目指す深幸に、いつしか佐伯の見る目も変わってきて…。


 足を絡ませる……たったそれだけのことに、心臓が破裂しそうなほどドキドキとし始め、深幸は返事をしたものの相変わらずピクリとも動けないでいた。
 佐伯を受け入れるのが怖いわけではなく、言われるとおりにしたいと思っているのに、とにかく身体の自由が利かないのだ。
「恥ずかしいなら目を閉じて、キスしてごらん」
 そう言われて初めて、深幸は自分がパッチリと目を見開いていることに気づく。
 そうか、見えなければ気持ちも落ち着く。キスをしていればきっとよけいなことを考えずにすむ。深幸は促されるままに佐伯に唇を押しつけた。
「んんっ」
 深幸が唇を重ねた瞬間、半ば強引に佐伯に足を持っていかれた。
 尻が開く格好に深幸も思わず身じろいだが、有無を言わさず入り込んできた佐伯の舌先に口内をまさぐられ、意識がそちらへと移ってしまった。
 キスを交わすほどに緊張も解けていき、あわせて身体も動くようになる。自然と深幸は佐伯の首に片手を巻きつけていた。しかし、そんな甘いキスも、次の段階へと進めばなんの気休めにもならない。
「ひっ」
 下半身に感じた冷たい感触に、深幸は唇を離して仰け反った。
 ジェルをすくい取ったあの指先が尻の間に入り込み、まだ誰の手も触れたことのない場所へと押し当てられたのだ。一気に意識がそこへと集中したのは言うまでもない。ジェルにぬめった佐伯の指先が、表面で動き出すと、深幸はこそばゆさに身を捩って逃げまどった。
「やっ……」
「ここに俺が欲しいんだろう?」
 優しい響きを持った佐伯の囁きに、全身がざわめき立つのを感じた深幸は、なにも迷うことはなかった。
「佐伯さんが欲しい……」
 迷いはなくても、言葉にすればやはり恥ずかしいものだ。
 深幸は羞恥に耳まで真っ赤に染めていたが、そんなものはおかまいなしに、佐伯が指先をググッと押し進めてきた。
「ああっ」
 窮屈な場所に無理やり、異物が押し込まれる感覚は、気持ちのいいものではなかった。
 ジェルを使ってはいるが、硬く窄まった蕾は受け入れ状態が整っていないのだから、痛みを感じるのも当然だ。ましてや、深幸は未経験なのだ。よほどの時間をかけて解さなければ、たとえ指一本であろうともすんなりとは入らない。
 ところが、そんな手順など知りもしない深幸は、佐伯とひとつになるためには、指くらいで弱音を吐けないと、歯を食いしばって痛みを堪えた。
「辛い? 痛かったら言って」
 少しずつ指を奧へと進めながら、佐伯が心配そうに声をかけてくるが、深幸は痛くないと無言で首を横に振った。
 佐伯の長い指がじわじわと浸食してくるほどに、尻の中には妙な感覚が生じてくる。痛みはもちろんあるのだが、それとは別のなにかを感じているのだ。むず痒いような、焦れったいような、なんとも表現し難い感覚に、深幸の口からは自然と甘ったるい声がもれた。
「うんん……っ……あああぁ……」
「そうだ。そうやって声を出せばいい。そうすれば、力が抜ける」
 佐伯の声に促されたわけではないが、ほぼ完璧に指一本を呑み込んでいる深幸は、すでに声を抑えられなくなっていた。
「あ……ふっ……うううぅ……っん」
 中に入れた指を掻き回すように動かされ、深幸の全身に震えが走る。
 生まれて初めて味わう痛み、そして、快感とは言い難いもどかしい感覚に、深幸はどうしていいかわからないまま、佐伯にしがみついていた。
 ただクニクニと体内で動いていただけの指先が、とある場所に触れたそのとき、電流でも流されたような衝撃を受けた。
「やぁ……」
 深幸は叫びにも似た声をあげ、佐伯から逃れようとジタバタもがいた。
 触られているだけというのに、達したばかりの股間に熱が生じる。まさに快感が直撃した感じで、萎えて大人しくなっていた中心が頭をもたげた。
「ここ、感じるだろう?」
「やめっ……い……ああっ」
 きつく抱きしめた佐伯に、同じ場所を連続的に刺激され、深幸の肌には一気に汗が噴き出してくる。
 尻の奧で湧き上がっているのは、今にもイキそうなあの馴染みある快感に近い。だが、あまりにも強烈すぎて、身体が退けてしまうのだ。
「男はここでも感じられるんだよ」
 佐伯はかなり手慣れていて、深幸も本来ならばなぜと不思議に思うところだが、嵐のように押し寄せる快感に、考える余裕もなくなっていた。
「ああ……んんっん……っあああ……」
 ピンポイントで攻められ、深幸の足先までが震える。
 そこを突かれるたびに、今ではすっかり硬さを取り戻した股間のモノが暴れ、なんとかしてくれとばかりにのたうち回った。
 熱い塊には触れてもいないというのに、もうイキたくてイキたくてたまらない。なにもしなくても、身体の奧を弄られるだけで、達してしまいそうなのだ。
「指でも充分に楽しんでるみたいだけど、ヒメが欲しいのは別のモノだったろう?」

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