恥辱の代償
著者/ 松浦巽
イラスト/ kuren
タグ: シリアス 作品集 極道 スーツ 御曹司 硬派 エッチ濃いめ ヤクザ 住み込み
味を覚えるとやみつきになるらしい。俺があんたに、その味を教えてやろう」。詐欺師と御曹司、医者と患者、敵対組織のヤクザ、中年サラリーマンとフリーター、ストーカーと臨床心理士、疫病神の同級生。ハードなエッチがコンセプトの6編を収録した作品集!
「あんたを俺の前にひざまずかせたいと、ずっと思っていた」
スタンガンを目の高さに上げ、スイッチを入れたり切ったりしながら言った。二つの電極の間に、青白い火花が走っては消える。
「泣いて許しを請うあんたが見たい。だがあんたは、痛みで支配できるようなタマじゃないだろう? きれいな顔して、これで竜成会一の猛者だというんだから、恐れいる」
目の前にスタンガンを突きつけられ、八坂は衝撃を覚悟して体をかたくした。
だが天堂は、そのまま、その凶悪な武器を持った手で八坂に触れた。
首すじをなぞり、胸を撫で、みぞおちからさらに下へと移動していく。草むらの中で力なくうなだれたものに近づいたとき、その手がわずかに違う動きをした。
まさかそこに電撃を与えられるのでは、と身構えた八坂は、別の衝撃に危うく声を上げそうになった。
そこを素通りした指に、いきなり肛口を撫でられたのだ。
「ここを使ったことはあるか?」
指先で縁をなぞりながら、天堂が言った。
「味を覚えるとやみつきになるらしい。俺があんたに、その味を教えてやろう」
八坂はぞっとした。裸に剥かれ、緊縛されたこの状況では、どうあがいても逃れることはできない。
絶望から体の力が抜けた。手足が勝手に震えだそうとするのをこらえながら、せめて怯えを悟られまいと、天堂の目を強く見返す。
「そうそう、その目だ。たいていの男はその目にビビるらしいが、俺は征服欲をかきたてられてしかたがない」
喉の奥で笑いながら、天堂はスタンガンをサイドテーブルに置いた。代わりに小さなチューブを取りあげ、八坂の傍らに腰をおろす。
肛口にクリームを塗りつけられて、八坂はびくりと身をすくめた。
「痛い目にはあわせない。あんたにはそのほうが屈辱的だろう?」
天堂は八坂の性格を見抜いている。
八坂は、その甘い美貌とはうらはらに、冷徹さと豪胆さとで広く知られていた。だがそれは、自分の容姿に対するコンプレックスの裏返しでもある。八坂は必要以上に男らしさにこだわるところがあった。
「舌を噛むなんて卑怯な真似はするなよ?」
先に釘を刺されて、八坂は逃げ道を失う。
クリームで滑りのよくなった肛口に、チューブの口をさしこまれ、中身を残さず搾りこまれた。
続いて指があてがわれたが、ほとんど抵抗なく根もとまで呑みこんでしまう。
快とも不快とも判別しがたい異物感。
引きのばすように内壁をぐるりと撫でられると、不意に強烈な排尿感に襲われ、雄の部分がむくりと頭をもたげた。
「ただの生理現象だ。ここを刺激されれば誰でも勃起する」
なぐさめるように言われたのが、かえって屈辱だ。
前立腺をくりかえしなぶられ、そのたびに震えが走る。指を引きぬかれると、軽い排泄感に、首すじの毛が逆立った。
天堂が自分のズボンの前に手をかけると、八坂はとうとう耐えきれなくなって、無駄と知りつつ力任せにもがいた。
縛めはびくともしない。
もちろんそれで天堂の気が変わるわけもなく、かまわず肛口に熱い肉塊が押しつけられ、じりじりとねじこまれる。
指などの比ではなかった。
入口がちぎれそうなほど引きのばされ、内壁をえぐるように押しひろげられる。潤滑剤で満たされていてもなお摩擦はひどく、粘膜が根こそぎ削りとられていくのではないかと思った。
「……ク……グゥ……」