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秘め事に啼かされて

著者/ 伊郷ルウ

イラスト/ machi comaki

タグ: シリアス 契約 年の差 社会人 スーツ メガネ 年下攻め エッチ痛め 乳首攻め 会社 緊縛

一夜限りの相手だったはずの広瀬誠一と、仕事で再会した真田路也は、身体だけでなく心を通わせ恋人同士になった。幸せな日々を送る路也だったが、ある日、他社からヘッドハンティングされている上司から、一緒に転職しないかと誘いを受ける。逡巡する路也に対し、上司は誠一との関係を持ち出し脅しをかけてきて…!?


 都心に建てられたシティ・ホテルの豪勢なスイート・ルームには、恋人同士が誕生日を祝うに相応しい豪華さがあった。
 カーテンを開け放した大きな窓からは、車のヘッドライトによって作られる光の帯と、きらびやかな夜景が一望できる。
 けれど、高層階にある部屋には、深夜を過ぎても眠らない街の喧騒はまったく届かず、静けさに包まれていた。
 今日のためにこの部屋を用意したのは真田路也で、大手食品メーカーの東開フーズでマーケティング・マネージャーとして働いている。
 三十六歳になった路也は出世コースを順調に突き進むエリートだけに、豪勢なホテルの部屋で恋人と一夜を過ごしたとしても、誰からもなにも言われないだろう。
 ただし、彼の隣にいるのは絶世の美女でもなければ、アイドルのように可愛い女の子でもなかった。
 広いベッドに裸で横たわる路也の隣で、同じように一糸まとわぬ姿を晒しているのは、二十六歳の誕生日を迎えたばかりの広瀬誠一だ。
 百七十センチをようやく超えるほどの背丈で、ほっそりとした体型の路也に対して、誠一はゆうに十センチ以上は高く、肩や腰ががっしりとした偉丈夫だった。
 二人は強い愛で結ばれた紛れもない恋人同士で、つき合い始めてからまもなく一年になろうとしているが、共に男性というある意味、特別な関係でもあった。
 エリートコースを歩む路也にとっては、誠一が恋人であるのは誰にも知られたくない秘密なのだ。
 ましてや、誠一はデザイン事務所に所属するグラフィック・デザイナーで、仕事上のつき合いもあるのだからなおさら隠し通したい。
 それだけに、本来であれば誠一とシティ・ホテルに泊まるのは、とても危険な行為といえた。
 そうした危険をあえて冒してまで、誠一の誕生日をスイート・ルームで迎えることにしたのには大きな理由があった。
 路也はこれまで恋人と呼べる相手を作ることなく生きてきたため、心から愛する人の誕生日を祝うのは初めてのことで、どうしても記念となる日にしたかったのだ。
「なあ、ずっとこうしてて大丈夫なのか?」
 路也の耳元で問いかけた誠一の声は、どこか心配そうな響きがあった。
 一回りは大きい誠一に後ろから両腕を回されている路也の身体は、彼の広い胸にすっぽりと収まっていた。
 そして、抱きしめる誠一の片手は、時間をかけた愛の営みの名残で、プックリと膨れあがってしまった乳首を弄んでいた。
「もう飽きましたか?」
 路也は問いかけながら誠一のほうへ首を捻ると、涼やかな目元を困ったように細めた。
 誠一とは十歳の年齢差があり、仕事上の立場もクライアントである路也が上になるのだが、彼に対して言葉を崩すことはなかった。
 これは仕事での出会いがつき合うきっかけとなったためで、臨機応変に言葉を使い分ける誠一とは異なり、路也はいまだに言葉を崩せないでいるのだ。
 だからといって、誠一とのあいだに距離があるわけでもなく、路也の性格的にいまさら砕けた口調で話ができないだけだった。
「そんなことないけど、今日はいつもよりちょっと派手にやったからさ……」
 言葉尻を濁した誠一は、視線を合わせた路也に向け、少しばかり申し訳なさそうな顔をしてみせた。
 すでに二回も昇り詰めていながら、互いの繋がりを解くことなく、胸への愛撫を要求したのは路也のほうだ。
 けれど、わずかに血の滲んだ乳首は激しい行為を物語っていて、誠一としては痛々しいそこに触れ続けているのが気になっているようだ。
 路也にとって乳首への愛撫は特別な意味を持っていて、そこで感じる痛みが強ければ強いほど昂ぶりも増していき、きつく噛まれなければ達することができない体質なのだ。
 誠一に抱かれるようになった今では、噛まれなくても昇り詰められるようになったが、路也の身体はやはり激痛を欲した。
 愛の営みの中でちぎれるほどに乳首を噛む行為を理解してくれるからこそ、誠一にすべてをさらけ出せる路也は気にするなと笑って、彼の手を取ると己の股間へと導いた。
「心配する必要なんてありませんよ、ほら」 
「あはっ……」
 指先に路也自身を感じた誠一は、呆れを含んだ小さな笑い声をあげた。
 すでに吐き出すものすら残っていないはずのそこは、余韻に浸る中で行われていた乳首への愛撫によって、萎えるどころか力を維持し続けている。
 二度も達していれば、それで充分すぎるほどに身体は満たされ、もう一度と望んでいるわけではない。
 ただ、誠一に触れられているのがなによりも心地よく感じられ、路也はそれを楽しんでいたいのだ。
「だから、嫌じゃなかったら続けてください」
「ホントにここが好きなんだな」
 股間から胸へと手を戻した誠一のつぶやきに、路也は彼を見つめながら恥ずかしげに微笑んだ。
「ええ……」

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