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開発王子と営業騎士

著者/ 佐伯まお

イラスト/ サンバ前川

タグ: あまあま 先輩後輩 社会人 スーツ 年下攻め 筋肉 エッチふつう リゾート

「塗りますのでお尻出してください」。王子様と呼ばれる電子楽器の開発部エース滝口巽は、バンコク支社への視察旅行中、激辛のタイ料理でお尻がヒリヒリ。同行するのは入社1年目にしてトップ営業マンとなった東堂恭一。有能な先輩とのリゾートライフにときめく恭一は、ホテルの部屋で治療と称して、痛みに呻く巽のお尻に塗り薬を摺りこんでいき…。ふとっちょさんに憧れるマッチョの恋を描いた「恋するダイエッター」も収録!


 じわり、とまた指が侵入してくる。
「はぁ、あ……だめ……っ」
「縁の方、すごく締め付けて……滝口さん?」
 東堂の低い声が耳朶をくすぐる。喘ぐ巽の異変に気づいたのだろうか。
 体内から指を抜き去られる気配がした。
「……んっ」
「滝口さん……熱くなってる」
 東堂の右手がするりと巽の前に回った。下腹部を撫で下ろして、息づく器官へと辿り着く。
「だめ……だってば」
 恥ずかしい部分に初めて指を突っ込まれ、混乱の果ての勃起。
 やんわりと包み込むように握った東堂の掌の感触は心地よかったが、その右手が上下に動き出した時、巽はますます動揺した。
「何するんだ、やめろ」
「さっきからお尻の中がヒクヒクしていて薬が塗りにくいんです。軽く出しておきましょう」
 この場合の『出す』は溜息や手紙などではあるまい。巽は慌てて身体をよじった。
「いいって! もういいから」
 生まれて初めて、他人の指をそこで感じた。
 学生時代は勉強とバイト、両親の看病に明け暮れてデートなどする余裕はなかったし、就職してからは地方の工場で勤務。女っ気のない研究室と寮の自室との往復で、二年以上がすぎてしまっていた。
 刺激的すぎる……こんなの、あってはいけないことなんじゃないのか。
 自分が極端にオクテであるということをさておいても、後輩に下半身を弄られるのは非常事態だと認識する。認識はするが、その手を払いのけることができない。
 昨夜からの痛みで体力を消耗していることに加え――東堂に抱きかかえられている状況から、抜け出せなかった。快楽、そして安らぎ。
「している……僕の方も恥ずかしいです。今、していることは二人だけの秘密にしておいてください」
「……うん」
 東堂の掠れた声に興奮の兆しを感じるのは、それを巽自身が期待しているからだろうか。
 自分だけが熱くなっているのではなく、東堂も……ということなら、いくぶん恥ずかしさが軽減される。
 毛布の下から、クチュクチュと控えめな摩擦音が聞こえてくる。ある程度興奮を我慢した時に、巽はそこに潤いを帯びてしまうことがあった。
「あっ……そんな、擦らないで」
 これじゃ、大喜びしているみたいじゃないか。もっと淡々と……事を終えられないものだろうか。
 巽の儚い希望を打ち砕くかのように、東堂の指技は巧みだった。先端をあやすように軽くつついた後、根本の方からじっくりと撫で上げてくる。
「ん……っ、ん」
 もう完全に、巽の下半身は制御が効かない状況に陥っていた。ゆっくりとした愛撫に焦れて、腰を弾ませてしまう。
 こんな浅ましく動いたら、きっと東堂くんは呆れてしまう。いや、もう呆れているに決まっている!
 火照った身体を持て余しながら、巽は己の反応を呪い続けた。やがて、東堂の唇が微かに耳元に触れる。
「うなじと耳が真っ赤……そんなに我慢しないで。見ている僕も、ドキドキしてしまいますから」
 ぎゅっと抱きしめられた時、背中全体で東堂の激情を感じた気がした。
 呆れたり嫌ったりなどしていない、そんな後輩の掌の中、巽は自身の快感を煮詰めた。
「い、いく……手、離して」
「最後まで、面倒みます」
 東堂の手を汚してしまうことに躊躇した巽だったが、東堂は微かに首を左右に振り、そこを右手で愛でたまま巽の首筋を甘噛みしてきた。
「あ、あぁ……っ!」

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